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「データに基づいて誰もが意思決定できるように、ビジネスの範囲を絞った」北の達人 木下勝寿氏×西内啓対談 Vol.2

西内啓の対談シリーズ。「北の達人」木下勝寿さんの第2回目です。データを活用して、社員の誰もが業務のイエス・ノーを判断するために、木下さんはビジネスの範囲を絞ったと話します。北の達人でのデータ活用事例について、さらに深く聞きました。
シティズンデータサイエンスラボは「データサイエンスを全ての人に」を掲げる株式会社データビークル(https://www.dtvcl.com/)が運営する公式noteです。

データでイエス・ノーが判断できる範囲にビジネスを絞った

西内 前回は、新入社員の方が赤字を出さないように上限CPOを設定して広告の出稿にアラートを出しているとおっしゃっていましたが、データの活用について、人材の採用や教育など、人事面ではどんな施策をされていますか?

木下 データ活用人材の採用についてはIQテストを行っており、採用選考基準として、最低120以上に設定をしています。IQ の値は20以上差があると、話が合わなくなるといわれています。IQ がある程度高い人は周りの人との会話が合わなくて、孤独感を感じる傾向にあるんですね。IQ の高い人が集まっている職場って比較的変わり者が多いんですけれども、弊社は数字に強い人間が集まっているんです。

教育面では、日常的な会話でも会議も、基本的にはすべて数値的な根拠を出させるという形にしています。もちろんすべてのものを数値化できるわけではありませんが、少なくとも数値上の仮説は絶対に出させるというのが会社の文化として根づいていると思っています。

西内 上層部の意思決定がボトルネックになってデータ活用がうまくいかないことがありますが、御社では木下社長がリーダーシップを発揮されているからこそうまくいっているんでしょうね。データをもとに意思決定できるリーダーを育てる上で、重要なことはなんだと思いますか?

木下 創業した当初はECという事業そのものが新しいビジネスだったので、何をもとに経営判断をすればいいのか、難しいところがありました。そこで私は、数字で判断できる部分だけでビジネスをしようというふうにある程度絞ったのです。

例えば、以前であれば広告代理店から広告枠の提案があると、社員がそれを私のところに持ってきて、私が出す・出さないの判断をしていました。しかし、よくよく考えたら私が判断する基準もやっぱり数字なんです。

過去にその広告枠を使った会社が、広告を出すのにいくら払っていて、何件の注文が来て、売れた商品がいくらあったのか。質問の内容は毎回同じだし、結局は数字で判断するので、私でなくても判断できるわけです。それからは、エクセル表でフォーマットを作っておいて、広告代理店には過去の事例から実績を入力してもらい、それをもとに社員が判断できるようにしました。

特に、創業初期の頃はあまり複雑なことをやるよりは、データでイエス・ノーが判断できる範囲に絞ったほうが経営がやりやすいだろうということ考えたんです。

利益の増減の原因がひと目でわかる「五段階利益管理」

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西内 商品の評価もデータに基づいて行われているのでしょうか??

木下 そうですね。売上はものすごく上がっているにもかかわらず、販促費や社員の手間がかかりすぎて利益に貢献していない商品がある一方で、まったく手をかけていないのに、実は安定して売れている商品もあるわけです。

そこで当社はすべての商品ごとに利益を五段階に分け、月次でデータを見ています。そうすることで、今月の利益が前月に比べて減ったとき、どの商品のどこのプロセスに原因があるのか、ひと目で見えるんです。

よくあるのが、Aという商品が過去最高の売上を記録したけれど、それ以上に広告費がかかっていたとか、もしくは実は利益をずっと支えていたのがほぼ手をかけていないBという商品だったというような話です。このうち、商品Bのように人件費がかからない商品は、社内でも話題になりにくいのです。

こうして月1回、五段階利益管理を見ることで、実は商品Bが利益を支えているんだと気づくことができます。商品に関してはそんなふうに見ていますね。

西内啓(にしうちひろむ) 株式会社データビークル 最高製品責任者
東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、2014年11月より株式会社データビークルを創業。自身のノウハウを活かした拡張アナリティクスツール「dataDiver」などの開発・販売と、官民のデータ活用プロジェクト支援に従事。著書に『統計学が最強の学問である』、『統計学が日本を救う』(中央公論新社)などがある。日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)アドバイザー。
木下勝寿(きのしたかつひさ)  株式会社 北の達人コーポレーション 代表取締役社長
1968年神戸生まれ。大学在学中に学生起業を経験。株式会社リクルートを経て独立。2000年から北海道特産品のインターネット販売を開始する。2年後に拠点を北海道へ移し、2007年には規格外の食品販売サイトを新設。2009年、株式会社北の達人コーポレーションに社名変更。健康美容の分野へ本格参入。Japan Venture Awards 2017「eコマース推進特別賞」受賞、EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー 2015ジャパン 日本代表候補ファイナリスト。
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「データサイエンスをみんなの手に。」を目標に掲げるデータビークルのオウンドメディア。「シティズンデータサイエンス」とは、統計学の専門家ではない一般の人々がツールを用いて手軽にデータを活用すること。データ分析の世界をより身近にします。https://www.dtvcl.com/