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データ分析結果は「大喜利のネタ」だと思え!?Tokyo Data Science Lab 2019-20イベントレポート

【好評につき、2020年1月21日にアンコールイベントを開催いたします。お申し込みは以下のページから】

確実に流れが変化しているこの数年

2019年12月6日、大崎ブライトコアホールにて、弊社2回目となるプライベートイベント「Tokyo Data Science Lab 2019-20」が開催されました。

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まず冒頭に代表取締役社長の油野がご挨拶をいたしました。

「創業して5年が経過しましたが、2~3年前に商談をして反応が鈍かったお客様から積極的なお問い合わせをいただくようになり、未発表の導入事例も増えています。ここ数年で流れが変化してきているようです。現場を知る皆さんと私どもとで、エビデンスに基づくビジネスを進めていきましょう」とイベントの開催を宣言。

賞味期限切れになった「次の10年間」

次に代表取締役CPOの西内啓が「広がりを見せる市民データサイエンス」と題して基調講演を行いました。

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西内は、冒頭でアメリカの経済学者ハル・ヴァリアンの非常に有名な言葉「I keep saying the sexy job in the next ten years will be statisticians.(私は次の10年間で最もセクシーな職業は統計家だろうと言い続けています)」をとりあげ、2009年のこの言葉がそろそろ賞味期限切れになるということ、2020年を迎えるにあたり次の10年はどうなるのかについて考えるのが本日のテーマであると述べました。

続いて西内は、データ分析の3つの分類を紹介。なかでも企業の現場が求めている「診断的分析」を行うためには高額のコストがかかり、現場とのコミュニケーション分断によりこの診断的分析もあまりうまく回っていないと現状をまとめ、データビークルは、そのミッションである「データサイエンスを全ての人に」を実現するためにdataDiver、dataFerryなどのツールを開発・提供し続けていると語りました。

来年の大型バージョンアップでは、dataDiverに「予測的分析」が実装される予定であると西内は言及。「データドリブンな意思決定が大きな利益を生みます。これからの10年を考えれば、データと打ち手が円滑に回る、市民データサイエンスの実現こそが企業の勝敗を分かつことでしょう」と基調講演を締めくくりました。

いかにデータサイエンス人事を育成するか?横浜市立大学の挑戦

次に、公立大学法人横浜市立大学データサイエンス学部 准教授 小泉和之さんが「産学で取り組むデータサイエンス育成」というタイトルで、高まるデータサイエンスへの期待と、人材育成の現場の状況について解説しました。

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統計学関連の学会の状況としては、統計関連学会連合が立ち上がり、2018年から「Japanese Journal of Statistics and Data Sicence」を発刊。連携して基準作りなどに取り組んでいます。また2011年にスタートした統計検定の受講者は初年度の4倍以上の伸びを見せているそうです。

次に小泉さんは大学側のデータサイエンス人材育成に関する動きを紹介。AI、データサイエンスを授業に取り入れたいと9割の大学が検討しているものの、実際は2割程度の大学でしか実施できていないという状況といいます。カリキュラム開発が難しく、また施設の設備にも限界があり、教員も不足しがちだからです。

そんな中で横浜市立大学は、2018年に公立大学として国内初のデータサイエンス学部を開設。さまざまなデータサイエンスに関する授業を提供しています。文系、理系にとらわれない教育や現場を重視した課題解決型学習を取り入れ、女性向け、高校生向けのデータサイエンスに関するイベントも開催。これらの取り組みが功を奏して、志願者も少しずつ増えてきているそうです。さらに横浜市立大学は、2020年から大学院である「データサイエンス研究科」を開設するとのことでした。

最後に小泉さんは、文科省の公募型事業である「YOKOHAMA D-STEP」の取り組みを紹介。高まるデータサイエンス人材への期待に応じた教育界の取り組みを、さまざまな形で紹介するセッションとなりました。

現場メンバーをプロジェクトチームにアサイン。活動の高度化に成功

次に登壇したのは、株式会社日立ドキュメントソリューションズの池田実正さん。「データ分析を活かすための『リサーチデザインとDX』」と題し、日立ドキュメントソリューションズがサポートをしている大手精密機器製造卸売企業A社さまにおけるデータ分析事例をご紹介いただきました。

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イベントのROIを高めたい、限られた営業人員で売り上げの拡大を図りたいという課題を抱えていたA社。当初はデータを分析しても「当たり前の結果」しかでませんでした。

そこでフェーズ2で、プロマネ、イベント担当者、テレマチームもプロジェクトに参画するように変更。ワークショップを実施し、ゴールへ向けた共通の指標や「ありたい姿」をメンバー間で共有したことにより、各業務チームと分析チームのベクトル共有化を実現、活動の高度化ができたそうです。

今後、日立ドキュメントソリューションズさんは、プロジェクトマネージャーをキーとして、リサーチデザイン、デジタルトランスフォーメーションが一体となったソリューションの構築・パッケージ化を検討しているそうです。

「神風」の番狂わせにも負けない忍耐力がスポーツのデータ分析には必要!?

最終セッションは「JリーグとBリーグ、データ活用のポイントについて語る」と題した鼎談です。Jリーグ川崎フロンターレの谷田部然輝さんと、Bリーグ日立サンロッカーズの宮野陣さん、そして西内啓が実際にスポーツチームがマーケティングでどのようにデータを活用しているのかについて語り合いました。

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まずは西内啓がdataDiverから見えた両チームの「熱心なファン」の傾向について解説。

川崎フロンターレの熱心なファン像は

・年齢は50~59歳が多いこと
・チケットがなくてもパブリックビューイングなどがあれば参加したいと考えていること
・居住地が川崎市川崎区の人が多いこと

…などがデータから読み解かれたそうです。この分析結果から、実際にパブリックビューイングなども企画したと谷田部さんはいいます。また、ポスター営業をする際にも、データから導き出された川崎市川崎区という地区を重点的に実施することで、刺さるターゲットに向けて効率的にポスターを展開することができました。

一方のサンロッカーズは青山学院大学と提携し、同校の体育館をホームスタジアムにしています。今回は青山学院大学と一緒に実施したアンケート結果をdataDiverで分析して発表。その結果によると、日立サンロッカーズの熱心なファン像は…

・20代、50代の女性が多い
・周りがSNSでプロバスケについての話題を投稿している
・好きな芸能人の中にバスケ観戦をしている

…などの結果が出ました。また意外なところでは「友人との付き合いを大事にしない」人も、傾向として出てきたということで、これには宮野さんも苦笑いしていました。

青山学院大学での授業では、学生がこの分析結果をもとに、「おひとり様女性」に向けた企画を立案。試合を見た後渋谷でおいしいものを食べるというパッケージツアーを実施するなど、実際の企画につなげました。

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お二人に実際のデータ活用で大変だった点を伺うと、お二人とも「そもそもデータがなかった」「上司や周囲の理解を得るのが大変だった」との回答。

また、谷田部さんは「スポーツは、データ分析していても、ときどき優勝争いに絡むような『神風が吹く』と、データで準備したことが吹っ飛んでしまう。それに負けずにコツコツやる忍耐力が大切」ともおっしゃっていました。

今後のビジョンとして、サンロッカーズの宮野さんは「今後はチケット販売のデータだけでなく、物販のデータや飲食のデータなどをつないで、お客様のプロファイリングをより明確にしたい」、谷田部さんは、「おかげ様でグッズの売上なども見えるようになった。次は川崎地区に拠点を作る中で、スポーツ×医療、健康ということに、データを使ってチャレンジしてみたい」のだそう。

両社ともに、データの分析結果をそのまま使うのではなく、「大喜利のお題のようなもの」と考えて、企画のネタにしているといっていたのが印象的でした。

最後に参加者の皆さんと質疑応答の時間をもうけると、会場から活発に質問が出されました。

データ分析に関する人材育成・組織、体制作り、具体的な分析結果の活用方法など、最新情報を多岐にわたりお伝えするイベントになったと思います。

なお、本イベント好評につき、2020年1月21日にアンコールイベントを開催することになりました。以下のページから、是非お申込み・ご参加ください!


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「データサイエンスをみんなの手に。」を目標に掲げるデータビークルのオウンドメディア。「シティズンデータサイエンス」とは、統計学の専門家ではない一般の人々が、ツールを活用して手軽にデータを活用すること。豊富な実践事例や読み物で、データ分析の世界をより身近なものにします。